2006年6月19日 (月)

このブログについて。あんどプレストーリー

ここへ初めて訪れた方へ。

一応デルフィニア戦記のパロディ小説です。

昔、デルフィニア世界を舞台にシミュレーション型のTRPGやってまして、それを小説化したものになります。設定としては「リィとウォルが出会う直前ごろ」スタート。「王をお助けしにいくぞ!」をスローガンに、どこにいるのかわからないウォルを追っかけて戦闘をしていきます。最終的には3巻のマレバ攻防戦前のウォルの国王軍に合流して終わるという予定でした。なので、パロディといいつつも、直接にリィやウォルは出てこないです。一応ラストには登場させる予定ではいたのですが、あいにくゲームが未完な為、全く出てきません。黒幕としてペールゼン侯爵の側近を配していますんで、ペールゼンの名前は出てくる場合があるといった程度です。

そんな小説ですが、よろしかったら暇つぶしに読んでいってやってください。以下がそのゲームのオープニングになります。

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キャンペーン「放浪の獅子」プレストーリー

巨星落つ―――。
 その報がデルフィニア中に流れたのは7年前の事である。
 確固たる王としてデルフィニアに君臨し、数々の戦役をくぐり抜けてきた偉大な王ドゥルーワが急死したのだ。
 国中がその偉大なる王の死を哀しみ、喪に服した。
 しかし不運はそれだけに終わらなかった。
 先王の喪が明け、新たな国王誕生を目前に控えたわずか1ヶ月前、後継者たるレオン王子が死亡したのを皮切りに、先王の血統を継ぐエリアス王子、ルフィア王女、エヴィナ王女が約3年間の間に次々と急死して行ったのだ。
 ついにドゥルーワ王の血統が途絶えたかに見えた。

 その後2年間に渡って宮廷は次期国王を巡って紛糾する。
その頃のペールゼン侯爵、近衛騎士団長アヌア侯爵は内乱やパラスト、タンガに国土蹂の隙を与えず、協力関係を見せていた。
 国王候補として上がっていたのは先王の降嫁した妹姫アエラの息子であり、サヴォア公爵であるバルロ。
 もう一人は先王の姪にあたる幼い姫。
 バルロは弱い継承権しか持っていなかったが、ティレドン騎士団長をも務める程の有能な騎士であり、国に忠実な人物としても知られていた。
 騎士バルロを国王とする事がほとんど正式に決まった事により、ドゥルーワ国王死去から続いた「魔の5年間」は終わりをつげる。
 そこへ一人の青年が現れた。
 彼の名はウォル・グリーク・ロウ・デルフィン。
 フェルナン伯爵の子として育てられていた彼は、先王ドゥルーワの愛妾が産んだ男子だったのだ。
 彼は産まれてすぐ、密かに先王によってフェルナン伯爵にゆだねられていた。
 次第に大きく力をつけてきたペールゼンと、様々な思惑を持つを貴族達は、妾腹の王を戴く事を由としなかった。
 しかし最有力候補であった騎士バルロの王位辞退と、ブルクスが示した先王の遺言状によって事態は収集にむかい、ウォル・グリークはデルフィニア国王となった。
 新王はフェルナン伯爵を後見に、騎士バルロやアヌア侯爵、ドラ将軍、ブルクスなどの有力者の支持を得て、公務に追われていった。

 その半年後、庶子の王を不服とするペールゼンを筆頭とする改革派が、
「偽王を王座から引きずり下ろす」
との大儀名分を掲げ、コーラル城に攻め込んだ。
 ウォル王は宮廷の数少ない味方の援護によって単身脱出。
 国の権力は、改革派へと移った。
 フェルナン伯爵は投獄され、ウォル王に味方していた人々もまた、現在それぞれ蟄居の憂き目にあっている。
 パキラ山から脱出したウォル王の行方はようとして知れない。

 デルフィニアのテバ河の上流、ウィンザ城よりさらに北にここ、ラスタがある。
その街は小さいながらもなかなかの賑わいを見せているのはパラストとの国境に近いため、近隣の領主が傭兵を雇い、常に国境を監視しているためである。
 その結果、この地方の街も傭兵達が出入りするため、賑わっているわけだ。
 ラスタの中にある酒場、グリーン亭は傭兵達が多くたむろする事で知られている。
今宵も傭兵達は集い、いつとも知れぬ命を慰めに歌に踊りに、酒に女に溺れてていた。毎夜の事ながら、大した騒ぎである。
 一種異様とも言えるその陽気な喧騒の中、片隅の円形テーブルで酒を飲みながらカードゲームを楽しむ者達がいる。
 その中のオレンジ色の髪の青年が、明るい声を茶目っ気たっぷりに低めて言った。
「なあ、知ってるか?」
「なんだい、カノン。それババ?」
「おいシガール。ババなんか引くなよ。こっちに回ってくるじゃねーか」
 優しげな風貌のシガールは伸ばした手を引っ込め、ちゃちゃを入れるサイクスは心底嫌そうな顔をする。この中で最年長と思われるサイクスの体は無駄の無い筋肉で覆われ、腕は古傷はその戦歴の多さ、強さを示していた。
 3人はしばらくやっていたポーカーに厭きて、ババ抜きをやっていたのだ。
 シガールもサイクスも、カノンの言葉を無視する形となったがこれは、
「話したい事があるなら聞いてやらんでもない。話すなら聞いてやるが、こっちからは聞かねーよ」
という意志表示である。
 カノンはそんな2人の反応にがくっと来たが、いつもの事なのですぐに立ち直る。
「あのなぁっ、陛下が戻って来るんだよ!」
「あーん? なんのヘイカだって?」
 サイクスはまったく気の無い返事。椅子にふんぞりかえって自分のカードを眺めながらラム酒をあおっている。
 しかし、シガールが真顔になった。
「カノン。それはウォル・グリーク陛下の事なのかい?」
「なにぃ、国王だって!? 本当かカノン。国王は生きてやがんのか」
 2人の酔いなど吹っ飛んだ顔つきに、カノンは得たりとばかりににやりと笑った。
 国王が追放されたとき、コーラルの民はこぞって改革派を誉め称えた。彼らも突然振ってわいた妾腹の国王を歓迎しなかったのだ。
 しかし現在はその風向きは変わってきている。
 改革派は手中にした権力でもって、したい放題。評判は地に落ちる一方だ。今では逆に、国王の帰還を待ち望んでいる。
 また地方領主や貴族達の中にも、改革派に反感を持っている者は少なくない。本来王が持つ筈の権力を、一部の貴族が握っているとなればそれも無理もない事だ。
 酒場では相変わらず馬鹿騒ぎが繰り広げられ、彼らの様子に気付く者はない。
 2人は身を乗り出し、カノンの言葉を待つ。
「実は今日さ、親父の使いでウィンザ城に武器を届けたんだ。しかも大量にだ」
「おい、まさか根拠はそれだけだけとか言うんじゃねえだろうな」
「サイクス、黙って聞きなよ」
 カノンの父親はウィンザ城出入りの武器商人で、このラスタの街で有力な商人である。シガールが傭兵になり、戦士達のたまり場に出入りするようになった事から、幼なじみのカノンもグリーン亭に頻繁に現れるようになった。
 そもそもカノンは騎士になりたかったのであるから、このたまり場は実に魅力ある場所であったろう。なまじ剣術に長けていたからなおさらだ。
 ちなみに彼は過去に何度か騎士団に入ろうとして、その都度父親に阻止され、現在は父親の下で商人になるべく修行させられている。父親としては「商人は自分が扱う商品の事をよく知らなければならない」という信念からカノンに剣術やら何やら学ばせたのだが、それがあだとなったようである。
 それはさておき、ウォル・グリークである。
「城内の雰囲気もいつもと違ってさ、なんか落ち着かないんだ。で、ちょっと下っ端に金握らせて聞いた訳」
「つまり、陛下が生きていて、デルフィニア戻ってくるって?」
「そうそう」
「生死さえわからなかった国王が生きていて、戻って来るとはなあ」
 シガールやサイクス、その他ラスタに集まる者達の中で、ダールやウィンザに直接関わる
様な所に雇われている者はいない。ラスタはダールが治める領地ではないのだ。
 ダールの行動をシガール達が知らないのは当然の事である。
「それで? ダールはペールゼン側に付いてたんじゃなかったっけ。その武器は陛下を害する為?」
 シガールは腕を組んで聞く。
 ダールといえば、成金趣味の姑息な日和見としてこの辺りでも有名である。
 改革派の評判が落ちているとは言え、ペールゼン侯爵の力はまだ絶大であるから、ダールが国王側に付くとは考えにくかった。
「それがさ、ダールの奴、ウォル王を罠にはめようとしているらしい」
「はっ。やっぱりね。考えそうな事だよ」
「で、どうするんだ。カノン、シガール」
 カノンはしばらく考えていたが、
「やっぱり行くっきゃないぜ! オレもデルフィニア国民だ。ウォル王を見殺しには出来ない。お助けしに行くぜ!!」
 力いっぱい宣言するカノンに、シガールは笑顔を向ける。
「さすがカノン。言うと思ったよ。サイクスはどうする?」
「んあ? 俺かあ? 分の悪い賭だと思うがな」
 サイクスは渋っている。
 果たして味方の少ない国王に、コーラル奪還はかなうのだろうか。
 フェルナン伯爵を始めとして、国王の味方はラモナ騎士団以外ペールゼンの手中にあるのだ。ましてやアヌア公爵は団長の地位を剥奪され、近衛兵団は改革派のサングが指令官となっている。
「おい、サイクスは行かねーの?」
「サイクス、確かに分の悪い賭だけど可能性はゼロじゃない。それにきっと陛下に味方する人は少ない。その少ない味方になって、功績を立てたらどうなると思う? 出世間違いなしさ!」
「……相変わらず口がうまいな、シガール。くらくらきちゃうじゃねーか。よし、いっちょやってみるか」
「そうこなくちゃな! な、シガール!」
「じゃあ、いつ出発する?」
「うーん。速い方がいいよなっ。……よし、明日夜明け前に街の外のブーラの泉に集合だ。遅れるなよっ!」
「おい。カノン。親父さん許してくれるのか?」
「ふっふっふ! もちろん内緒だ。シガール、俺の剣預けとくわ。ついでに旅支度も頼むな!」
「はいはい。後で金よこせよっ」
「おう、軍資金なら任せとけ! 親父の金庫から適当にくすねてくらあ!!」
「……俺、お前の親父さんがかわいそうになってきたぜ」

 カノンはふり向いて言った。
「おい! 君達も一緒にいかねーか!?
 真に王を手助けしたい奴も、名誉が欲しい奴も、金が欲しい奴も、単に暴れたい奴も歓迎だ! 行きたい奴はブーラの泉に集合だ!!」
「‥‥‥カノン。壁に向かって何いってんの? 大丈夫?」

            プレストーリー 終

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2006年4月16日 (日)

MAP4のまとめ

同人誌の既刊分に関してはGM解説があったので、未発表分であるコレにも一応書いておこうかと思います。

キャンペーン通しての敵を背景に登場させたMAPでした。それに伴い、ゲーム上の敵ユニットの主力には前回までの盗賊&傭兵中心でなく、騎士(SナイトおよびAナイト)や弓兵(アーチャー)を持ってきています。また全般にPCの成長時「幸運」パラメーターを軽視する傾向にあったため、ソレが防御にものをいう敵ユニット気闘士も登場させました。コレはPCが高LVだろうが低LVだろうが攻撃を食らえばダメージは平等なので、実は今の格差がある状況では一番最適な敵なのではと思います。

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2006年4月15日 (土)

MAP4 第4章 青い影(終了SS)

 村を後にしてきたデイリーは、橋のところに立つゴビに気づいた。敵の増援部隊がきて退路を絶たれないとはいえないため、用心に橋の前で警戒をしているらしい。
「ご苦労様。でも殿を勤めるなら、橋を渡った所を守るほうが効率いいですよ。そこだと万が一の時に囲まれますからね」
 通りすがりに声をかけたデイリーの一言で、ゴビは自分のミスに気がついた。確かに橋の前では袋叩きになってしまうかもしれない。渡ったところであれば、小さい橋だけに一度に渡れる人数は一人。よって、万一の時にはたとえ相手が多勢であったとしても、一対一になるのだ。
 ゴビは橋を渡って待機することにした。それにしても、なんとなく嫌な感じがする。新たな敵が現れるような。
「どうも潮まわりが悪いな。早いとこボスを叩いてくれよ! と伝えてくれ」
 ゴビの伝言を受け取ったデイリーは、足早に先行する仲間達の元へと向かっていった。

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2006年4月12日 (水)

今後の予定

PCの歓迎SS、参戦SS(葉月以外が書いたもの)が幾人分かあるんですが、MAP4新規PCに関しては今のところ気闘士ファーの分を私が書かねば(まだ書いてない(笑))なので、終了SS後に書きあがり次第アップかな。

それ以外のパーン、ゴビ、リィオ、シェイはプレイヤー本人、または他プレイヤーの手によるSSが存在するんで、どーしよっかな~でいます。

ちなみに、ゴビは書いたつもりでいたけど書いてない。なぜそんな勘違いが生じたかといえば、ゴビの名を見るたびに頭に

「ゴビがごびごびっ(と歩いてる♪)」

というコトバがぐるぐるしてしまうせいでしょう。馬鹿です(笑)

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2006年3月15日 (水)

MAP4 第4章 青い影(中間SS5)

 三騎士を倒し、左ルート組との合流を目指す中、カノンは炎王を呼んだ。南側の森が少々気になるのだ。このまま館へ進めば森は背後に位置することになる。万が一敵が潜んでいれば挟み撃ちされかねない。そのため丁度森の中が気になるらしい炎王に偵察に行ってもらおうと思ったのだ。ジョウラと二人でなら少々の敵なら大丈夫だろうし、何かあっても馬であれば、また軽い少女とであれば素早くその場から逃れられるだろうと踏んでの人選だった。
「了解した。後ろは任せてくれ」
「行こう、炎王」
 炎王とジョウラは仲間と離れ、うっそうとした森の中へと入っていった。
 この森はまったく人の手が入っていないらしく、前へ進むにも草や枝が邪魔をして動きにくい。幸いまだ木々が芽吹く前で、木の葉が少ないので視界はそんなの悪くなかった。外から見たときには薄暗そうで、少々気味悪くも感じられた森だが、中に分け入ってみると時折柔らかな光が差し込み、恵み豊かな森らしく、動物の気配も多く感じられた。それならばもっと人が足を踏み入れても良さそうな感じなのに、近寄るものはほとんどないらしい。
「あっ、あれ。光ってる!」

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2006年2月15日 (水)

MAP4 第4章 青い影(中間SS4)

  砦から見張っていたモルゼンの部下は、カノンたちの姿を認めると一斉に出撃してきた。その中でもリブロ、キース、マリスという三騎士はモルゼン隊のなかでも一目置かれている存在だった。三騎士は先行の者達が情けなくも簡単に倒されたことに飽きれると同時に、気を引き締めていた。

 しかしそんなことは知らないイシェスは、あの人数であれば自分ひとりがいなくとも、何とかなるだろうと判断し、近くの民家に情報収集に行こうと仲間たちに断りを入れようとしたのだが、返ってきたのはナスターの少々情けない答えだった。
「イシェっ、こいつら任せる!」
「あんたねえ、自分の前の敵くらい自分でどうにかしなさいよッ」
 ナスターの破壊力はすごい。しかしそれは相手に当たればの話で実は守備の面ではかなり危ない。このお祭り男もその辺は正しく己を把握しているので、イシェスへの要請は茶化してはいるが間違いではなくむしろ正しい。

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2006年1月16日 (月)

MAP4 第4章 青い影(中間SS3)

 左ルートのデイリー達は谷間を抜け、見通しの良い平野に出た。遥か先には川が見え、敵の拠点である館を取り囲む岩壁が見えた。
 見通しが良いということは身を隠すところがなく、相手からも良く見えるということだ。伝令が届いていたのだろう。デイリー達に向かって複数の兵士が迫ってきている。
 この場面で冴えていたのはシグルだった。
 先ほどの戦闘で生き残った騎士は、後方の仲間と合流しようと小さな砦に駆け込んだが、シグルは見逃さなかった。
 砦へと追ってきたシグルに、騎士は槍を一薙ぎお見舞いする。はらりと銀の髪を揺らして避けるが、わずかに腕を引っ掛け血を流した。しかしそれを気にする風でなく、彼女はアイスブルーの目で敵をクールに見据えると、指で騎士を指し示す。
 シグルドは彼女に従い、その鋭い鉄の爪で騎士に襲い掛かった。騎士はとっさに振り払い、槍で突き刺そうとするが果たせない。
 にらみ合いになったが、シグルのそばで龍飛が敵騎士二人と対峙しているのが気にかかる。
(龍飛を援護しなければ・・・・)
 しかし焦りは禁物だ。
(騎士か・・・・。そうだ、あれを試そう)
 シグルは砦内をたくみに移動しながらシグルドを呼び寄せ、すばやく爪を取り替える。
「いけっ、シグルド!」
 彼女の腕から飛び立ったシグルドは、新たな武器で騎士に襲い掛かり引き裂いた。
「これは・・・・!」
 対騎士用として優れているとのふれ込みで購入したものだが、武器商のその言葉に間違いはなかったようである。
 物言わぬ躯と成り果てた騎士に黙祷をささげると、新たな敵に向かって行った。

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2005年12月20日 (火)

MAP4 第4章 青い影(中間SS2)

「あっちに民家や店がある。奴らが立ち寄るかもしれんな」
 カノンたち右ルート隊が進む先にもまた、モルゼンの部下達が曲者を探して近づいてきていたが、先に発見したのはカノンたちの方だった。
「結構人数がいるみたいだな。騎士もいれば傭兵もいるようだ」
「そうだね。ちょっと気をつけたほうがいかもしれない」
 カノンとシガールが話していると、場数を踏んだ仲間達もまた口々に同意の声を上げている。
「確かに突出すると危険そうですね」
 聖剣クリスもめずらしく何も言わず、ルーンに同意しているようだ。
「誘き出して固まって攻撃したほうがいいかもしれないな」
「では私がおとりになろう」
「炎王か。いいのか、かなり危険だぞ」
「問題ない」
 静かな自信をもって炎王はカノンに言った。今まで黙って聞いていたジョウラは炎王がいくならと、ぴょこんと手を挙げて飛び跳ねる。
「じゃあっ、あたしも行くっ」
「お前が一緒に行ったら、おとりにならないだろう。今回はおとなしく待っていなさい」
 早くも馬上に上がり苦笑する炎王に諭されて、ちょっと萎れるジョウラだったが、本当はついて行ってはいけないことは判っている。でも拗ねてしまいそうなのは感情の問題で、自身にはしょうがないことだった。
 そんなジョウラの服の裾を、ティアはそっと引いて注意を向けるとにっこり小声で話しかけた。
「炎王さんは大丈夫ですわ。なんでしたらお邪魔にならないように、ちょっとだけ後からついていってはいかがですか? それならすぐに駆けつけられますでしょう。私ももし炎王さんがお怪我なさったらいけませんから、ご一緒させてください。二人一緒なら安心ですわ」
「そっかっ。そうだねっ。そうしよう、ティア。ありがとう!」
 そんな二人の会話をリシャール少年はなるほどと聞いている。

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2005年11月17日 (木)

MAP4 第4章 青い影(中間SS1)

 館に駐留する騎士達は、昨日逃した曲者であるサイクスを探して周辺の聞き込みをしていた。そのうちの幾人かが有力な情報を持ち帰っていた。
「どうやら昨日の曲者はこのあたりの者ではなく、流れ者の傭兵のようです」
「奴にはデルフィニアからの仲間がおり、義勇軍と名乗って何かを探して旅をしているもようです」
 館の一室で、モルゼンはその報告を聞くと眉を寄せた。
「なに、デルフィニアからか。もしかするとその何かとは、あの偽王のことかもしれん。また義勇軍とはたいそうな名前だ。早々に叩き潰せ」
「お待ちを、モルゼン殿」
 共に聞いていた青い装束の騎士が口を開いた。まだ年若いようではあるが、モルゼンの配下ではないようだ。
「その者たち、ウォル・グリークの所在を知っているのかもしれません。その義勇軍とやらの指導者は殺さずに生け捕りにしていただきたい。我らはまだ、かの偽王の居場所を掴めておりませんから。なにとぞ・・・・」
「わかった。必ず生け捕りにして貴君に引き渡そう。お前達、わかったら行け」
「ははっ」
 モルゼンに命じられた騎士は昨日の失態を取り戻すべく退室し、モルゼンもまた装備を整えるために出て行った。
「義勇軍とはな・・・・。騎士バルロといい、アヌア公爵といい、何故そこまで肩入れするのか。ウォル・グリークとは一体どういう男なのだ」
 残された青い装束の騎士は、しばらく物憂げに窓の外を眺めていた。

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2005年10月19日 (水)

MAP4 第4章 青い影(OPSS)

 彼らが放浪中の王を探して一月近く経つが、未だ王の行方をつかめずにいる。
 それでも彼らは焦ることなく、徐々に仲間を増やしつつ寒風のなかを進軍している。
「僕をゆっくり休ませてくれないか」
 シガールは食糧の補給にと立ち寄った店で、彼にしてはむっつりと不機嫌そうにぼそりと言った。彼の隣にいたカノンはいつも穏やかなシガールをちょっと目を見開いて凝視した。それだけ彼の不機嫌の表情は珍しい。
「休むって……、この間も宿屋で休憩した筈だぞ」
「宿屋? あんなの、逆に疲れるだけじゃないか……」
 驚くカノンにシガールはさらに疲れたように答えた。

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