このブログについて。あんどプレストーリー
ここへ初めて訪れた方へ。
一応デルフィニア戦記のパロディ小説です。
昔、デルフィニア世界を舞台にシミュレーション型のTRPGやってまして、それを小説化したものになります。設定としては「リィとウォルが出会う直前ごろ」スタート。「王をお助けしにいくぞ!」をスローガンに、どこにいるのかわからないウォルを追っかけて戦闘をしていきます。最終的には3巻のマレバ攻防戦前のウォルの国王軍に合流して終わるという予定でした。なので、パロディといいつつも、直接にリィやウォルは出てこないです。一応ラストには登場させる予定ではいたのですが、あいにくゲームが未完な為、全く出てきません。黒幕としてペールゼン侯爵の側近を配していますんで、ペールゼンの名前は出てくる場合があるといった程度です。
そんな小説ですが、よろしかったら暇つぶしに読んでいってやってください。以下がそのゲームのオープニングになります。
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キャンペーン「放浪の獅子」プレストーリー
巨星落つ―――。
その報がデルフィニア中に流れたのは7年前の事である。
確固たる王としてデルフィニアに君臨し、数々の戦役をくぐり抜けてきた偉大な王ドゥルーワが急死したのだ。
国中がその偉大なる王の死を哀しみ、喪に服した。
しかし不運はそれだけに終わらなかった。
先王の喪が明け、新たな国王誕生を目前に控えたわずか1ヶ月前、後継者たるレオン王子が死亡したのを皮切りに、先王の血統を継ぐエリアス王子、ルフィア王女、エヴィナ王女が約3年間の間に次々と急死して行ったのだ。
ついにドゥルーワ王の血統が途絶えたかに見えた。
その後2年間に渡って宮廷は次期国王を巡って紛糾する。
その頃のペールゼン侯爵、近衛騎士団長アヌア侯爵は内乱やパラスト、タンガに国土蹂の隙を与えず、協力関係を見せていた。
国王候補として上がっていたのは先王の降嫁した妹姫アエラの息子であり、サヴォア公爵であるバルロ。
もう一人は先王の姪にあたる幼い姫。
バルロは弱い継承権しか持っていなかったが、ティレドン騎士団長をも務める程の有能な騎士であり、国に忠実な人物としても知られていた。
騎士バルロを国王とする事がほとんど正式に決まった事により、ドゥルーワ国王死去から続いた「魔の5年間」は終わりをつげる。
そこへ一人の青年が現れた。
彼の名はウォル・グリーク・ロウ・デルフィン。
フェルナン伯爵の子として育てられていた彼は、先王ドゥルーワの愛妾が産んだ男子だったのだ。
彼は産まれてすぐ、密かに先王によってフェルナン伯爵にゆだねられていた。
次第に大きく力をつけてきたペールゼンと、様々な思惑を持つを貴族達は、妾腹の王を戴く事を由としなかった。
しかし最有力候補であった騎士バルロの王位辞退と、ブルクスが示した先王の遺言状によって事態は収集にむかい、ウォル・グリークはデルフィニア国王となった。
新王はフェルナン伯爵を後見に、騎士バルロやアヌア侯爵、ドラ将軍、ブルクスなどの有力者の支持を得て、公務に追われていった。
その半年後、庶子の王を不服とするペールゼンを筆頭とする改革派が、
「偽王を王座から引きずり下ろす」
との大儀名分を掲げ、コーラル城に攻め込んだ。
ウォル王は宮廷の数少ない味方の援護によって単身脱出。
国の権力は、改革派へと移った。
フェルナン伯爵は投獄され、ウォル王に味方していた人々もまた、現在それぞれ蟄居の憂き目にあっている。
パキラ山から脱出したウォル王の行方はようとして知れない。
デルフィニアのテバ河の上流、ウィンザ城よりさらに北にここ、ラスタがある。
その街は小さいながらもなかなかの賑わいを見せているのはパラストとの国境に近いため、近隣の領主が傭兵を雇い、常に国境を監視しているためである。
その結果、この地方の街も傭兵達が出入りするため、賑わっているわけだ。
ラスタの中にある酒場、グリーン亭は傭兵達が多くたむろする事で知られている。
今宵も傭兵達は集い、いつとも知れぬ命を慰めに歌に踊りに、酒に女に溺れてていた。毎夜の事ながら、大した騒ぎである。
一種異様とも言えるその陽気な喧騒の中、片隅の円形テーブルで酒を飲みながらカードゲームを楽しむ者達がいる。
その中のオレンジ色の髪の青年が、明るい声を茶目っ気たっぷりに低めて言った。
「なあ、知ってるか?」
「なんだい、カノン。それババ?」
「おいシガール。ババなんか引くなよ。こっちに回ってくるじゃねーか」
優しげな風貌のシガールは伸ばした手を引っ込め、ちゃちゃを入れるサイクスは心底嫌そうな顔をする。この中で最年長と思われるサイクスの体は無駄の無い筋肉で覆われ、腕は古傷はその戦歴の多さ、強さを示していた。
3人はしばらくやっていたポーカーに厭きて、ババ抜きをやっていたのだ。
シガールもサイクスも、カノンの言葉を無視する形となったがこれは、
「話したい事があるなら聞いてやらんでもない。話すなら聞いてやるが、こっちからは聞かねーよ」
という意志表示である。
カノンはそんな2人の反応にがくっと来たが、いつもの事なのですぐに立ち直る。
「あのなぁっ、陛下が戻って来るんだよ!」
「あーん? なんのヘイカだって?」
サイクスはまったく気の無い返事。椅子にふんぞりかえって自分のカードを眺めながらラム酒をあおっている。
しかし、シガールが真顔になった。
「カノン。それはウォル・グリーク陛下の事なのかい?」
「なにぃ、国王だって!? 本当かカノン。国王は生きてやがんのか」
2人の酔いなど吹っ飛んだ顔つきに、カノンは得たりとばかりににやりと笑った。
国王が追放されたとき、コーラルの民はこぞって改革派を誉め称えた。彼らも突然振ってわいた妾腹の国王を歓迎しなかったのだ。
しかし現在はその風向きは変わってきている。
改革派は手中にした権力でもって、したい放題。評判は地に落ちる一方だ。今では逆に、国王の帰還を待ち望んでいる。
また地方領主や貴族達の中にも、改革派に反感を持っている者は少なくない。本来王が持つ筈の権力を、一部の貴族が握っているとなればそれも無理もない事だ。
酒場では相変わらず馬鹿騒ぎが繰り広げられ、彼らの様子に気付く者はない。
2人は身を乗り出し、カノンの言葉を待つ。
「実は今日さ、親父の使いでウィンザ城に武器を届けたんだ。しかも大量にだ」
「おい、まさか根拠はそれだけだけとか言うんじゃねえだろうな」
「サイクス、黙って聞きなよ」
カノンの父親はウィンザ城出入りの武器商人で、このラスタの街で有力な商人である。シガールが傭兵になり、戦士達のたまり場に出入りするようになった事から、幼なじみのカノンもグリーン亭に頻繁に現れるようになった。
そもそもカノンは騎士になりたかったのであるから、このたまり場は実に魅力ある場所であったろう。なまじ剣術に長けていたからなおさらだ。
ちなみに彼は過去に何度か騎士団に入ろうとして、その都度父親に阻止され、現在は父親の下で商人になるべく修行させられている。父親としては「商人は自分が扱う商品の事をよく知らなければならない」という信念からカノンに剣術やら何やら学ばせたのだが、それがあだとなったようである。
それはさておき、ウォル・グリークである。
「城内の雰囲気もいつもと違ってさ、なんか落ち着かないんだ。で、ちょっと下っ端に金握らせて聞いた訳」
「つまり、陛下が生きていて、デルフィニア戻ってくるって?」
「そうそう」
「生死さえわからなかった国王が生きていて、戻って来るとはなあ」
シガールやサイクス、その他ラスタに集まる者達の中で、ダールやウィンザに直接関わる
様な所に雇われている者はいない。ラスタはダールが治める領地ではないのだ。
ダールの行動をシガール達が知らないのは当然の事である。
「それで? ダールはペールゼン側に付いてたんじゃなかったっけ。その武器は陛下を害する為?」
シガールは腕を組んで聞く。
ダールといえば、成金趣味の姑息な日和見としてこの辺りでも有名である。
改革派の評判が落ちているとは言え、ペールゼン侯爵の力はまだ絶大であるから、ダールが国王側に付くとは考えにくかった。
「それがさ、ダールの奴、ウォル王を罠にはめようとしているらしい」
「はっ。やっぱりね。考えそうな事だよ」
「で、どうするんだ。カノン、シガール」
カノンはしばらく考えていたが、
「やっぱり行くっきゃないぜ! オレもデルフィニア国民だ。ウォル王を見殺しには出来ない。お助けしに行くぜ!!」
力いっぱい宣言するカノンに、シガールは笑顔を向ける。
「さすがカノン。言うと思ったよ。サイクスはどうする?」
「んあ? 俺かあ? 分の悪い賭だと思うがな」
サイクスは渋っている。
果たして味方の少ない国王に、コーラル奪還はかなうのだろうか。
フェルナン伯爵を始めとして、国王の味方はラモナ騎士団以外ペールゼンの手中にあるのだ。ましてやアヌア公爵は団長の地位を剥奪され、近衛兵団は改革派のサングが指令官となっている。
「おい、サイクスは行かねーの?」
「サイクス、確かに分の悪い賭だけど可能性はゼロじゃない。それにきっと陛下に味方する人は少ない。その少ない味方になって、功績を立てたらどうなると思う? 出世間違いなしさ!」
「……相変わらず口がうまいな、シガール。くらくらきちゃうじゃねーか。よし、いっちょやってみるか」
「そうこなくちゃな! な、シガール!」
「じゃあ、いつ出発する?」
「うーん。速い方がいいよなっ。……よし、明日夜明け前に街の外のブーラの泉に集合だ。遅れるなよっ!」
「おい。カノン。親父さん許してくれるのか?」
「ふっふっふ! もちろん内緒だ。シガール、俺の剣預けとくわ。ついでに旅支度も頼むな!」
「はいはい。後で金よこせよっ」
「おう、軍資金なら任せとけ! 親父の金庫から適当にくすねてくらあ!!」
「……俺、お前の親父さんがかわいそうになってきたぜ」
カノンはふり向いて言った。
「おい! 君達も一緒にいかねーか!?
真に王を手助けしたい奴も、名誉が欲しい奴も、金が欲しい奴も、単に暴れたい奴も歓迎だ! 行きたい奴はブーラの泉に集合だ!!」
「‥‥‥カノン。壁に向かって何いってんの? 大丈夫?」
プレストーリー 終
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